「千手観音菩薩」
中国芸術団の公演を観てきました。
合掌をした美しい姿の後方に、
煌びやかな数人の手が左右に広がり、
感動しましたねぇ~。
今回は千手観音菩薩様に
会いに行った後のお話です。
江戸日本橋から京都三条大橋を結ぶ
東海道五十三次
だいたい490km ですかねぇ~、
二週間ぐらいかけて京都の宝寿寺へ~
こ噺
棟梁:
旅はいいねぇ~
二週間も歩くとなると、
ちょいと腰が引けたがねぇ~
千手観音菩薩様にあった時にゃ~!
ス~ト力が抜けたねぇ~
見惚れるってぇ~のは
こうゆうことだって思ったねぇ~
八に仕事任せて二週間も空けたんだ
土産と土産話でもしてやるとするかぁ~
八:
棟梁、女将さん、お帰りなせぇ~
棟梁:
長い間、世話になったなぁ~ありがとよ
これは土産の菓子でぇ~、
あとは土産話だぁ~、聞くかい!
八:
菓子も嬉しいが土産話がもっと嬉しいぃ~
それではどうぞ
棟梁:
ん。千手観音菩薩様はさいこ~だな!
どこから見ても
こっちの方を見てくれているって感じた時はな
ありがてぇ~って手ぇ~あわせたよぉ~
それでなぁ!
八:
棟梁~、
女将さん、どう~しなすたんで?
元気がねぇ~て言うよりも…すねてるんじゃ~
行くときは笑顔がありやしたが、
長旅で疲れたんですかねぇ~?
声をかけても、上の空ですよぉ?
楽しんだぁ~あとの女将さんは
子どもがはしゃぐみたいに、
キャッキャ騒ぐんですがぁ~ねぇ?
どうしました?
棟梁:
そ~なんだよ、旅は楽しいねぇ~ってぇ
行くときゃ~スキップしてたんだよぉ
それが帰りになると口もきかねぇ~
宿に上がったて、飯の時だぁ~
善が運ばれたら、善を後ろに向けて
おれと背中合わせで食っちまうし、
食ったと思ったら、床をひいてふて寝だぁ~
声かけても、だんまりだぁ~
訳を聞こぉ~にも、こんなんだろ!
久しぶりの夫婦(めおと)旅が、
なんで、こぉ~なるかなぁ~?
だんまりの原因はなんだぁ~?
八、聞いてこい
なにニタニタしてんだぁ~、八?
八:
棟梁は道々ず~と
千手観音菩薩様を褒めなすてんでしょ
道々誰といっしょだったんですぅ
女将さんはねぇ
菩薩様と張り合うつもりはないよぉ、でもね
痒いところに手が届くって言うけど
あたしは気が利かない女房なの?
配慮のできない女房なのってぇ~ねぇ
ありぁ~、やきもちですねぇ
生身の人間なら言い合うこともできやすが、
菩薩様じゃ~、どうやっても勝てねぇ
無理って分かるだけに、
落ち込んでぇ~いなすんでぇ
棟梁:
やきもち焼かれるってことは、
幾つになっても嬉しいもんだなぁ、
おい、おい、八どこに行くんだぁ?
お良に言わなくていいよぉ、
おれから言うからよお!
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愛情表現の仕方は色々だと思うんですね。
やきもち妬かれるのは男冥利に尽きます。
相手が菩薩様ですからこの上ない
幸せな男です。
笑楽(わらら)噺はこれまで
またのお越しお~。